予科練とは・・・

一真が社会人になり、我が家もいよいよ子供たちが巣立っていった。
悠時が高校一年の夏休みに突入。
大学進学は最初から望んでいないので、次男坊と家族としてのんびり過ごせるのも後三年を切ったことになる。特に親として気負いは無いのだが、関東に来たら一度は行ってみたいと思っていた場所がある。それが土浦海軍航空隊跡地。

海軍予科練習生、通称「予科練」を終戦記念日を前に訪れてみたいと思い、先週末、見学してきた。

太平洋戦争末期、エリート出世コースだった航空機搭乗員。16歳から20歳前後の若人は、士官や将校となり、真珠湾攻撃まで、最大限の賛辞をもって日本人に評価されてきた。
それからはアメリカの巨大大国との国力の差に連敗につぐ連敗で・・・という歴史。
最終的にグアム島を制圧された日本軍は完全に拠点を失ってしまい、そのグアム島を逆に拠点とされたアメリカ軍は、今度はB-29による日本本土を狙った爆撃が始まる。この時まで日本は「いつか神風(しんぷう)が起り、日本が大逆転!」と信じていた。が、皮肉なことに、神風は、爆弾を背負ってて機関に突っ込む神風(かみかぜ)特別攻撃隊、所謂「特攻隊」という残酷な運命の名称で太平洋戦争が終結するまで15年物間、出撃をくりかえすことになる。全国から24万人が予科練入り、このうち戦争に参加したのは約2万4千人で、実に80%にあたる約1万9千人もの人が亡くなったそうだ。
それはアメリカ軍からしてみれば、狂気の沙汰であり、異様な警戒と恐怖を仰がせ、人間の命を使った爆弾は、予想を上回る成果をあげた為、結果予備学戦までも戦場に駆り出され、最終的には14歳から徴兵・・・。

現在陸上自衛隊武器学校

と併設している。山本五十六が眺める先には、自衛隊が誇る戦車が無数に展示。


公益財団法人「海原会」は、予科練出身戦没者の慰霊顕彰と遺書・遺品などを管理する団体の雄翔館がある。

そして、この雄翔館と併設し、予科練平和祈念館がある。

僕はこの歳まで、色々記念館やら観てきた方だと思うが、靖国神社の遊就館の何倍も何重倍も恐ろしく悲しい記念館だった。オブラートに包んでも史上最悪。
これほど強烈な戦争の記録ってあるのだろうか。何故今まで知らなかったのだろうか。子供に見せるというより、自分自身に強烈に突き刺さったのだった。

・・・当然ながら写真は記念館内の写真は殆ど撮影禁止。そりゃそりゃもう年端もいかない若人がお国から「死」を宣告され、家族に遺書を書き、バンザーイと送り出され、爆弾に搭乗し、敵艦に突っ込んでいく訳だ。遺書も含み遺留品の数々は涙なしには語れない。ゼロ戦に登場し、爆砕する末期の話は良く聞くが、ゼロ戦などはある意味末期状態で搭載機が無くなった為、やむなく利用しただけ。本来の特攻隊は、特攻用に開発された専用兵器に乗る。それが本来の姿。ゴジラー1.0では、特攻から逃げた主人公の話が繰り広げられるが、本当の惨状は逃げ道など一切ない。特攻専用の兵器は爆弾しか積んでいない片道切符だ。操作できる範囲も極端に狭い。人間魚体「回転」(上写真)なんかミサイルに人間が入って操縦するわけで、そんなの方向なんかまるで意味が無い。着弾の意思を自分で決めるだけ、着弾しなけりゃ意味も無い爆死しかない。「桜花」は人間が爆弾を背負って海中に潜伏し、敵艦に接触爆破する。そんな壮絶な記録など、こういった現地の資料館でしか収められていないのだ。
悲惨極まりない残酷な記録は、「絶対に戦争を繰り返すな」という何よりも強い気持ちを奮い立たせてくれる。
なんだか、記録映像で最も泣けたのは、この予科練を中心としたB-29絨毯爆撃で生き残った周辺地域に住んでいるおじいさんおばあさんの「生きた話」記録映像だ。予科練(現雄翔館)周辺は10トン爆弾による恐ろしい集中爆撃を受け、最後の予科練生まで根こそぎ爆死したという。淡々と話すおじいさん。目の前で脳みそが飛び出した若者の脳みそを拾って頭に入れてあげる。それが何の意味もないことに気が付かず、ただ助かって欲しいと願いながら。股間や内臓が噴き出したまだ生きている人たちが何重と重なり合う場所で介護活動していたおばあさんの話も淡々としていた。とにかく惨めだったと。とにかく悲惨だったと。

軽く記念館を観ただけだが、重たい週末だったよ。自衛隊が管理する雄翔館と、国が管理する予科練平和祈念館。知っておくべき事実なのか、未来に残すべき資料なのか。色々考えさせられる週末だった。

“予科練とは・・・” への1件の返信

  1. 乙です。

    重たく暗く、絶対に繰り返してはいけないことではあるが、忘れてはいけないこと
    確かに。。。

    今現在、戦争を政策として実施している某国たちの指導者に思い知ってほしいと他人事のように言うのは違うな

    肝に命じて生きねばならんね。

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