ペーパードライバーの助手席

会社の車を使って外回りをする機会がある。

コロナの影響で在宅ワークに偏っていた業務を、徐々にではあるが取り戻そうとしているのだが、人数を制限して順番に回すというかんじだ。

二人ペアで回るのだが、私の場合、もう一つのミッションがある。運転に不慣れな女性社員に適度に運転を練習させてやってくれ、と頼まれたのだ。

私はこのミッションに絶句した。

相手の運転技量もわからないのに、練習と称して公道を走ってよいのか。。。

外回り当日、まずは私が運転しながら彼女の技量と意欲を探る。その社員も上司から「会社の車で運転に慣れてね」と言われたそうだ。で、嫌だとは返答していないらしい。やる気はある、ということか。

ペーパー歴は10年以上。昔は家の車を運転していたらしい。この話が出て、家の車を使わせてくれと頼んだらしいが、両親からダメと言われたらしい。この話を聞いて、この日の彼女の公道デビューはあきらめた。

外回りの途中、大きく閑散とした駐車場に寄る機会があったので、ここで練習をさせてみた。私は助手席へ。

運転席に座る。彼女、固まる。
エンジンの始動から説明。彼女の返事の声が大きくなる。
「ちょっと前に進んでみようか」「え、どこですか?」
みたいな、噛み合わない会話が発生する。
速度は30kmも出ていないのに、こっちまで緊張する。シフトレバー近くにあるエンジンオフのボタン近くから手が離れない。

5分と経たずに練習を切り上げる。

この日、約300kmの距離を運転することになったが、とてもとても運転を代わる気にはならなかった。

ペーパードライバーを業務で運転手にするって、無理でしょう。