転職

先日、別会社の人たちと飲む機会があった。年に1~2回、集まって飲む程度の付き合いだが今回は特別な話題が待ち受けていた。その中の一人、同い年のAさんがこの7月に“転職”していたのだ。

同い年、今年53歳。二人のお子さんがいると聞いていたので「(この年齢で)思い切ったな~」とびっくりしていたのだが、経緯を聞いていると「そりゃ(転職)するよな~」と思った。なお、お子さんは二人ともすでに会社員になっているとのことだった。

Aさんの会社はいわゆる測定会社。私の会社からも発注していた時があった。Aさんの話では、転職は、ずーーーーーっと前から考えていたとのこと。その理由は積もりに積もった不満。聞いてみるとなかなかエグイ。待遇面でいうと、今から15年前に昇給ストップを宣告されていたとのこと。ボーナスもなし。誤解がないようにいうとAさんは測定チームのリーダーで、当然能力もある。要は、景気の悪さ、会社の売り上げが伸びないという負の責任を15年前から受け続けていたわけだ。その経営陣は同族経営。社長は前社長の息子。東京支店長はその弟。会社で購入したという大きな車には社長が私用で家族利用したと思われる子供を乗せた痕跡が多々みつかるといった具合。そんな中、ことある毎に別会社の知り合いから「何かあったらウチに来い」と言われていたらしく(しかも二社から)、この夏、意を決して転職することにしたそうな。

新しい会社も同じ測定業務なのだそうだが、分野が異なるため今現在は「職場の会話の内容が理解できない」レベルらしい。そして来月から東京に単身赴任が決まっている(ホテル暮らし)。しかし、そんな話をするAさんの表情は明るい。聞いているこちらも納得の転職だった。

転職できたAさんは幸せな方だ。Aさんが出て行った会社の知り合いにBさんがいる。Bさんとも飲みに行くことはあるが、そんな会社の裏事情は聞いたことがなく、常に明るいお酒だった。Bさんのことを思うと複雑な気持ちにもなる。

我々は10年もしないうちに定年を迎える。その後の生活はガラッと違うものになる。学生から社会人になったときの気持ちの変化は、例えるなら「希望しかない」という感じだったが、現役世代から定年世代になる気持ちの変化は、どんなものになるのだろう。少なくとも「希望しかない」といった脳天気なものではないはず。しかし、「不安でしかない」なんてことにならないように、何かしらの楽しみを見いだしたい。少なくとも定年後は「何か楽しそう」って思えるような状態に自分を持って行きたいなぁと思った。

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