この前テレビでやっていた犯罪ドキュメントでネットを使った詐欺罪を扱っていた。その一つに高価なオーディオ商品(アンプやケーブルなど)を試聴するために借りておいて、返却するどころか転売していた犯罪があった。この犯人はその後逮捕されたとあったが、その高価なオーディオ商品の世界というのが目をひいた。そこで流通している商品のは、いわゆる大手メーカーのものではなく、ほとんど個人商店のような製作会社の商品で大量生産ではなく受注生産、手作りのような商品だ。オーダーメイドのようなアンプが高価で売られ、それをオーディオマニアが買い求めている。しかし、RAMの解説にあったように、それらの商品には他の接続機器との相性があるのだろう。試しに使用してから買うことができる、というサービスが一般的なようだった。改めてオーディオという分野は職人芸のような技術に支えられているのだと思った。
今まで人並みにパソコンと付き合ってきたので、そのデジタル技術の進歩の凄まじさは理解しているつもりだった。特に映像の分野はその恩恵を余すことなく受けている印象で、デジカメ、HD映像、4K、8K映像といった最先端の技術が速やかに商品化され、すぐに流通する。それに引き替えオーディオの世界は「結局、良い音はレコード」という状態であるというのどう理解したら良いんだろうね。レコードって、レコード盤に音の変化を形状として刻みつけ、そこにレコード針を走らせ、その振動による電圧変化から音を再現するという図式だと考えると、レコード針が読み取るレコード盤の溝の深さの変化がどれだけ実際の音の変化と相似しているかどうかが決めてとなると思うが、音をレコード盤の溝に刻みつけるといった手法も、その変化を読み取り電気信号にする手法も、今の音をデジタル変換する手法より優れていたという話なのだろうか。。ぼやっとした話で悪いが端的に聞きたいのは「やはり一番はレコード」なの?
そーね、微妙な問題なんだよねぇ〜。恐らく、デュアルも疑問に思った「レコード」の技術は、一時期、職人の極みまで到達していた。歴史が長いという話に尽きる。この「職人の極みに到達したい」からオーディオ愛好家が多く存在するというのが結論。だってさ、レコードなんて回転するスピードを幾ら安定させても物理的に回転してる訳だからムラが発生する、そのうえ針の種類なんて何千種類もあって使う度に摩耗する。勿論レコードも聴く度に溝がすり減り、とてもじゃないけど「最も良い音はレコード」とは言いがたいワナWWW
だけど、PCによるデジタル圧縮技術が出来るまで、最高の音はレコードだったし、レコードしか無かった訳だ。んでこのレコードをより良い音で聞く度に工夫を凝らし、プリアンプの職人、メインコントローラーの職人、ターンテーブルの職人、針の職人、どうかしたら伝達ケーブル、果ては電源ケーブルまで様々な職人が知恵を絞り最高の音を提供していた昭和の時代。どれを同組み合わせたらより忠実な音を再現できるのかという「陶酔の世界」がソコにはあった。最初に話は戻るが、人間の耳は鈍感なので、そういうバックボーンや高級な機器に囲まれ、レコードを聴くと「錯覚」を起こす。「やっぱアナログが最高!」ってなる。いわば、自宅に音楽博物館を作り、かつて英知を極めた職人技術を楽しむ事に至福の喜びを感じるのだろう。
レコードもSPからEP、LPに至まで回転スピードにも差があるし、その時代時代の録音技術の善し悪しもある。でもデジタルになると、もうそういう職人技を楽しめなくなってしまう訳なんだよねぇ。
俺達は奇しくもレコード時代からCD、MD、DAT、そしてデジタル配信に至までの経緯をリアルタイムで感じる事ができた唯一の世代だ。
もう少し上の世代は、時代を感じる事が出来ず、「いやワシはレコードが好きなんじゃ!カセットが最高なんじゃ!」の世代。
このお年寄り達が他界し、我々の世代が最高齢に到達したとき、レコード技術は完全に博物館に収納されてしまうんだろうね^^
実は録音技術ではまだ健在にくすぶってるのが、アナログTOデジタル。所謂ADの世界。演者は歌は勿論、管楽器、弦楽器、ドラム、ギターなど様々な音源をマイクで収録。この収録技術がアナログ。そしてここでADコンバーターの登場だ。このADの行程で全ての音の善し悪しが変わる。原音に忠実により生音に近いのがセオリーだけど、マイク技術は相変わらず「レコード時代」から進化していないので鉄板を揺らすリボンマイク、コンデンサー式、電磁波を共振させるダイナミック式からアナログケーブルを返し、ADコンバータへ送られる。
ちょっと前の世界だと、ADDA(アナログ信号をデジタル信号に変換し、作業終了後アナログに戻す)が主流だったが、デジタル配信の現在、ADD(アナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号のまま納品)と、まぁよりこのAD(アナログ信号をデジタル信号に変換する)に全てが集約されている訳だ。
実はこれね、タダ(パブリックドメイン)で配られているコンバータ技術と、数千万もするコンバータ技術には何にも差が無いのよ。ただソコには職人さんが居て、コンバーターにアナログの象徴でもある真空管なんかも利用し、「暖かい音が・・・」「忠実でより柔らかい」なんて感じでチョイチョイとアナログ技術を盛り込んで表現してるのが特長で、プロの間で重宝されている。
「これさ、数千万のコンバータと聞き比べたけどさ、秋葉で売ってる500円のと同じ音にしか聞こえないんだけど。波形も同じなんだけど」とは・・・言えないでしょ。なぜならお高いコンバータにはアナログ技術と職人のバックボーンが組み込まれ、それに数千万投資し、陶酔しているプロのエンジニアが存在するからね^^。人間の耳っていい加減なんだよねぇ〜。
アナログって言葉に弱いんだね。歴史の力って凄いよね^^。
というオチでいかがでしょ^^