エーガ(映画)について(長文失礼)

前にも言ったけど、最近アホほど映画館に足を運ぶようになった(といっても、“趣味は映画鑑賞です”なんて言えるレベルでもないけど。あくまで今までの自分にしたら・・だけど)。そんな時、うちの会社が出している機関誌のようなものに原稿を書くことになった。原稿といっても会社の職員が毎月順番に「編集後記」的なものを400字前後書くだけ。内容もほぼ自由。去年、私の当番の時にはマラソンの抽選で落選し続けていることを書いた。で、今年は映画について書こうと思った。

そのためにいろいろ調べてネタにしようとデータ的なものを集めたのだが、結局、内容が発散して仕上げることが出来ず、映画ネタはお蔵入り。自分で書いていて何が言いたいのか解らなくなった(笑)せっかくなのでココに書かせてくれ。まとまらないと思うけど。

はじめに映画ネタを書こうと思ったのは「なんか、最近、日本映画(邦画)が元気だ(多い)なぁ」という印象を持っていたから。それを統計データで裏付けて原稿を仕上げようかと思ったのだった。

まず、邦画と洋画の公開本数の推移をみてみる。あ、数字は全て一般社団法人 日本映画製作者連盟のサイトから拾った。

1955年から2016年まで。青が邦画、オレンジが洋画(グラフが大きくならない^^;すまぬ)

これでみると青いグラフの邦画は近年数を伸ばしているのがわかる。1950年代の日本映画の全盛期?を超えている。それと私が比較的よく映画をみた80年代後半から90年代前半は洋画の本数が大きく上回っていた。そういう過去の思い出もあって最近の邦画の勢いが余計に印象付いたのだと思う。では、入場者数はどうか。邦画と洋画の内訳の数字は無かったので全体の入場者数ね。

1955年から2016年まで。

このグラフのスケールでみると最近どころか2000年以降はほぼ横ばい。先ほどの公開本数が昔を凌駕したのに比べると全然の結果。でも、こちらの結果の方が、テレビやレンタルDVDの普及など娯楽の多様化に伴い、映画の勢いが昔ほどでは無いという実感に一致する、とは思わない?次に興行収入の推移はどうか。

1955年から2016年まで。全体の興行収入ね

1970年頃を境に金額が跳ね上がっている要因は映画入場料の値上げ・このころ、400円くらいから10年間で1000円以上になり、1990年頃に今の1800円になっている。それを踏まえてもここ数年は収入額を伸ばしてきている。これを2000年以降に絞って、興行収入に占める邦画と洋画の割合をみてみる。

2000年から2016年まで。青が邦画の割合

2008年以降、邦画が洋画を超えております。公開本数が上回っているからそうなのかも知れない。。。が、しかし、一作品あたりの興行収入を算出してみると、映画一本あたりの興行収入でもここ数年は邦画が洋画を上回っておりました。

2000年から2016年まで。青が邦画の一本あたりの興行収入

何か違和感を感じない?!今回、この違和感を原稿にしようと、意気込んだんだけど書いている途中で発散しました(笑)これが先々週までのお話。今も引きずっている違和感というのは、このデータで見る限り、日本では邦画の方が洋画より、商品「映画」として成り立っているってこと?それって映画の予算とか世界的ヒットの作品群を見る限りおかしくないか?っていう疑問。長い長い前フリで申し訳ない(笑)。

この結果に対して“引っかかる”事実とか思いを箇条書きすると

  1. 邦画の製作費は洋画の数分の一から数十分の一といわれている
  2. 世界的ヒットは洋画のみ、のような気がする
  3. 一方、自分自身、確かにここ数ヶ月、「見たい」「見ようかな」って思う作品は邦画の方が多い
  4. かといって、観た邦画が全て平均点以上かというと決してそうではない

昔、邦画の平均製作費用3億円では、マッドマックス3の3分間くらいしかつくれないといわれたほど製作費の格差は大きかったよね。今もあまりかわらないと思うけど。これは新人監督の作品についても同様で、日本の新人監督の低予算ぶりは韓国や中国よりも遙かに下とのこと。だから、映画としての商品は洋画の方が平均的に優れていて当たり前だと思うのだけど。。。次に、邦画と洋画に対して思うところは次のとおり

  1. 洋画は過去のシリーズもののリメイクが多い(何でもあり。スーパーマンとバットマンが戦う時代)
  2. 考えてみたら大ヒットした洋画の記憶が最近少ない。直近の大ヒットアニメ「君の名は」みたいなアニメが大ヒットを産むのかな
  3. 邦画も漫画や小説を原作とする作品が多い(映画オリジナル脚本が激減)
  4. 異様に感じるほど邦画の本数(主に○○の実写化)
  5. 「売り出し中の俳優やアイドルを使います」が前提のような配役。
  6. それでも予告やCMをみて、次何みようかな?これみようかな?って思うのは今のところ邦画だったりする(年齢のせいか?)
  7. なんとなくだが「○○製作委員会」形式のメディアミックス展開ありきの映画製作が蔓延しているのが良くも悪くも現在の邦画を支えているような気がする

結局、低予算で、しかも資金調達も委員会形式でクリアしていて、漫画や小説を原作として使うことでその作品のファンの集客が見込めて、売り出し中のアイドルや女優もたくさんいる。製作サイドとしてはこれほど楽な環境はない。一方、観るお客さんの方も、知った原作、売れている原作、よく見るタレントさんなどの「安心感」からチケットを買ってしまう。この構図がうまくハマっているのが今なのでは無いかと思う。シネコンの普及も映画上映と鑑賞の両方を手軽にしている。

はい、まとまらなくなってきた(笑)最後に言いたいことは、邦画には安易な作品が多いってこと(こんな薄っぺらい作品作りで何も感じないのか?)、洋画も昔の貯金を食いつぶすようなリメイクや続編ばかりに頼るな、ってことかな(笑)

以上、ここまでお付き合いいただきありがとう。すまぬが、息切れだ。これにて終了。それでも映画館の雰囲気、上映前のドキドキ・ワクワクは好きだから仕方がない。

“エーガ(映画)について(長文失礼)” への4件の返信

  1. 面白い話題だった。が、是非、俺の意見も付け加えてくれWWW
    これはDOLBY SYSTEM<Dolby Atmos>を会社が関わる諸事情で調査した内容に基づく意見なので信憑性は高いぞ。丁度研究していたテーマでもあるが、洋画と邦画の興行収入に関しては、俺の意見も参考になると思う。俺も長文の予感WWW

    その1
    シネコンプレックス(シネコン)の増加と躍進
    同一の施設に複数のスクリーンがある映画館の事だが、2003年から始まった業界再編(外資系シネコンの撤退を引き金に始まった業界再編)で、東宝の買収(野村證券の参入でヴァージンシネマズを買収。TOHOシネマズと改名。同東宝系直営映画感をTOHOシネマズに移管。また、マイカルは松竹と合併、「MOVIX」に改名。ユナイテッドシネマは住友と角川に資本売却。「AMC」と改名。巨大な資本が動いたシネコン改名と大手興行会社(イオン・なんば、大阪ステーション・109等)、小規模工業会社がこぞってシネコンを導入。日本全体でシネコンを文化にするマスコミ誘導合戦が勃発。十年経過し2017年現在、「シネコン」は文化として根付いて、外資系撤退のち、資本提携は一様の成果を見せるようになった。

    日本のシネコン映画館はTOHOシネマズとMOVIXが全体の8割を締め、その殆どは先に述べた日本の映画配給会社が資本元となっている。ここに邦画が元気になる理由がある。

    映画館のシステムは、今も昔も変わらず、配給元から映画を期間レンタルし、上映する。小規模工業会社は、スクリーンが1つしか無い為、吟味に吟味を重ね、その時期、最も興行収入を見込める映画を「1本」上演する。それはつまり洋画(ワールドワイド)の方が稼げるシステムだ。だがこのシステムには無理がある。例えばもの凄く興行が期待できる映画があったとしよう。例えばジョーズ。映画封切りは立ち見の出るほどの大盛況。が上映期間が長引くにつれ徐々に人気は収まり、上演末期には数人しか入場者が居ないのに大スクリーンで上映。一本の映画で勝負するには、トータルの映画配給期間でいつ「打ち切りにするか」の切り処の手腕が問われてしまう。

    ところがシネコンは大きく事情が異なる。各スクリーンの客席数は80 – 500席程度を集客力に合わせ同時に「複数本」(6〜20スクリーン程度)の映画を上映できる訳だ。スクリーン数が多い為、上映映画を吟味してレンタルする必要もない。全部上映すればよい。全ては完全入れ替え制な為、集客を見込めない映画は小さなスクリーンで、集客を見込める映画は大きなスクリーンで調整をし、最後までまんべんなく集客数を確保する事が可能だ。
    更には映画料金は邦画も洋画も差別なく一律料金(1600〜1800円)で統一されている。
    当然企業広告は有利に配偶され、映画制作では洋画に叶わないまでも、宣伝に関しては配給会社の手腕にのみ。安く制作し、高く見て貰った方が儲けが高い。
    集客力の少ない邦画でもコンスタンツに上映数を伸ばせば、純利益の面で邦画は洋画を抜き去り大いに優位な立場をキープできる。
    更にはシネコンは、その多くがショッピングセンターのテナント運営され、「広くて綺麗な映画館」「手軽で豪華な映画館」は、今やスッカリ若者、ファミリー層にも定着し、双方の相乗効果を煽る事に成功している。若者は映画の後にショッピング。家族は子供が映画を見ているうちに両親が買い物したり、家族全員で楽しんだり、ライフスタイルも多様化し、シネコンという文化が根付いてきた。
    誰でも気軽に(暇つぶしでも)映画を楽しめるシネコンというシステムが確立し、「今日はどの映画を観ようかな」と視聴側にも吟味する余裕が出てきた。上映時間がタイミングに合わなけりゃ邦画観よっかな〜と邦画へ全体の1割でも傾けば、それは長期的なスパンで観れば邦画の方が興行成績では有利になってしまう。制作にお金が掛かってないのに、洋画と同じ映画料金で上映されるので、結果的には儲かるのは邦画という図式が確立してしまった。この日本国内に於けるシネコンの台頭が、洋画と邦画の興行収入逆転現象に繋がっていると感じる。

    収益の還元は機材や照明などの先行投資に当てられる。Dolby Atmosの導入はそのほぼ全てがシネコンのみ。古い小規模工業会社(スクリーンが1つしか無い上映館)は、完全に時代が過ぎ去り、古く、汚い。(お金が無いから投資できない)
    なにか打開策を出さなければ死滅する可能性すら出てきた。

    その2
    巨大企業戦略と消費者の「口コミ」。

    日本発信で世界規模で興行大躍進した映画。「アナと雪の女王」。日本は世界で最後の公開国となっていた。世界的にはまるで興行成績が振るわず、ディズニー過去最低の興行になるか・・・と危惧されていた作品。(CGはピクサーではなく、ディズニーCGが担当)にも関わらず、日本のみで興行収入が212億を突破し、その結果を世界に逆発信し、続編が作られる程の盛況を経たという非常に希な経緯を辿るアニメーション映画だ。
    日本で売れた理由。それは吹き替えの話題性だ。松たか子が歌う日本語版にCMも切り替えられ、家族層にウケルよう仕向けた仕掛け人がいる。それが「TOHOシネマズ」だ。
    TOHOは、シネコンを利用し、TOHOシネマズ日劇他全国598スクリーンで上映しまくり、累計の観客動員数は1601万人!。
    この映画は、世界では全く受け入れられなかった事から、決してディズニー陣営が凄かった訳では無く、まさに、「口コミ」に仕向けた「TOHOシネマズ」の戦略勝ちに尽きると思う。映画の感想なんか酷いもんで、終わって見ると「えにごーえにごー」の歌しか覚えていないWWW。

    もう一つの現象で、「TOHOシネマズ」を抜いた恐るべき映画。「君の名は。」現象。
    実はこの映画、TOHOが配給する「シンゴジラ」と、特「MOVIX」が「君の名は。」しか配給が無かったというボタンのかけ違いから派生した非常に特異な売れ方をしている。
    TOHOは財力で国内映画配給のTOP企業だ。そのTOHOが社運を賭けて制作した映画。それが「シンゴジラ」だ。庵野監督を起用し、1992年公開の第19作『ゴジラvsモスラ』の累計動員約420万人を突破して平成シリーズ以降で最高の動員数となった。興行収入は80億円を突破!まさに化け物映画だ。
    が、同じ時期、別のシネコンで「君の名は」が封切り。イオングループが抱える「MOVIX」。この映画は若年層の格好のターゲットとなった。買い物世代の若者が「MOVIX」を訪れ、シンゴジラがTOHOでしか放映されていないことを理由にMOVIXでは「君の名は。」が爆発的ヒット。コレに目を付けたTOHOは、シンゴジラの興行成績が下火になると、「君の名は。」をMOVIXで上演開始。全国約300館という大規模な興行に切り替わり、「シンゴジラ」を超える230億のヒット作になった。
    そういう経緯がある為、この「君の名は。」のヒット経路は眉唾ものだったりするWWW。

    日本で洋画が儲からないのは、配給会社がワールドワイドで同じ宣伝広告しかしてない為だと断言できる。「アナと雪の女王」のように、口コミだけで洋画も大ヒットする土壌は整っているのだから。

    ってな蘊蓄でした^^長いな〜2時間レポート書いてた(笑)

  2. うーむ、まずはこれだけの「まとめコメント」を2時間ほどで書き上げるとは・・・やるのう(笑)流石なり。
    シネコンがテレビで言うところの多チャンネルサービスの提供をする一方で、需給バランスを自らコントロールできるデバイスでもあったという指摘はなるほど!と思った。売り出し作品は一つのシネコンで複数のスクリーンで上映しているし、客入りが見込めない作品はスクリーン数を減らし、かつ上映時間割のコマ数を減らしていく運用がシネコンではなされている。確かに昔、子供の頃に通った中州の映画館はスクリーンは一つだけで大人数を収容する構造だったね。経営難しいよね、確かに。
    そしてRAMが教えてくれたtohoシネマズ。まさにコレが今の私の映画ライフを支えている。シネマイレージにも登録し、六回観ると一回タダというサービスも太っ腹だなと思ったけどシネコンなら痛くもかゆくも無いサービスなんだね^^;
    口コミによる興業戦略の話も興味深い。まさに私もそうだ。口コミ情報は映画を観る上でけっこう参考にしている。tohoシネマズのアプリは映画チケットの購入の他にyahooのレビューにコメントを書き込むようになっている。そうやって宣伝効果を狙う一方、tohoにとっても上映期間の延長とか打ち切りのマーケティング戦略に役立つのだろう。。
    ここまで、まさに私が現代日本映画界がご用意してくれたマーケティングシステムに組み込まれた典型的な観客モデルということが判明した(笑)でも、オイラそれでもいいんだ。少しでも良い作品や感動シーンに遭遇する機会が増えるなら・・(遠い目)

  3. 定期購読してる「映像新聞」に興味深い記事が載ってたので紹介。
    シネコンスクリーンが大盛況で16年連続で黒字計上。しかも若年層の来場も急増し、前年対比ナント97.1%の2285億超え!。昨年度の興行収入上位は美女と野獣、ファンタスティックビースト、パイレーツオブカリビアンなどの洋画と台頭し、ドラえもん、ポケットモンスター、銀魂などの日本アニメが首位を占める。
    一つの娯楽スタイルとして確率しているだけにこのジャンルは益々上り調子なのだろうね^^

  4. そうか昨年は洋画が盛り返した年だったんやね。「若年層の来場者が増えた」ということについては映画館に行ったときの実感と一致する。アイドルや人気バンドのライブ映像など、非常にコアなファン層をターゲットにした作品もシネコンでは当たり前のように扱っているし、オタクが好みそうなアニメ作品なども短期上映されている。そして、そういう作品は結構ソールドアウト状態(上映スクリーンが少ないこともあるだろうけど)。土曜の朝一で映画を見に行ったりすると、当日封切りのアニオタ作品をみるためにファンが映画館のフロアーを埋め尽くしているなんてのはよくあるよ。

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