金曜日の夜。帰りに映画館に立ち寄った。
今年、私には夢があった。TOHOシネマズのポイントを6000ポイント貯めて「一か月フリーパス」とポイント交換するという夢が。
残りポイント800ポイント。あと7本も観れば到達可能なところまできた今年の10月。「一か月フリーパス」のサービスが昨年末に終了していたことを知ってこの夢は潰えた。
が、空いた時間に映画館に行くというスタイルは貫き通そうと思い、この日も映画館にやってきた。
今日のターゲットは「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。エヴァンゲリオンの新作だ。
エヴァンゲリオンを観るのは生まれて初めて。一時代を築いた作品であることは知っている。その新作、しかもそんなに長くない90分くらい。時間を潰すのにはちょうどよかった。
しかし、すでにご存じのように私が見たのは新作じゃなかった。昔の劇場版だった。新作は来年の公開らしい。
どうりで有名作品の公開初日にしては人がまばら、チケット代も1100円と安かったわけだ。
ま、初めてみたエヴァンゲリオンだったが、そこは旧作。軟弱な少年主人公がスパーロボットにいきなり乗って戦う。周りは女だらけ、お約束のラッキースケベを盛り込む展開など、既視感いっぱい。
一番引っかかったのは主人公がカセットテープで音楽を聴いていたところ。スーパーウェポンを作る技術力をもつ近未来社会でカセットテープというのは昔の作品とは言え想像力の乏しい設定だなと思ってしまった。
一回見ただけでは全く何も理解できなかった。来年公開の新作というのはどういう位置づけのものなんだろう。
うーん、今回見てしまった劇場版からすると・・・微妙な空気を感じるというのが正直な感想だ。
もっとも突っ込みたいところ。DUALくん。カセットテープでは無いのだよ。あれはDAT、しかもS-DATウォークマン!
https://period3.to/2015/12/31/what-is-s-dat/
当時の庵野監督が未来と過去をつなぐアイテムとしてカセット ウォークマンでは無くS-DATウォークマンを採用したのかーという思考に、実は深い深い意味があったりする。
エヴァQでは「S-DATが初号機から復元された」という設定になっていて、S-DATはシンジの元へ戻る。しかし、そのS-DATは故障していて動かない。
渚カヲルは故障したS-DATをシンジから受け取り「いいよ、動くようにすればいいんだね」と言う。
これは「壊れかけた絆の修復を試みる渚カヲル」を意味する。そして同時に、S-DATはシンジとカヲルの絆を表現するアイテムとして使われている。
つまり、S-DATは「絆」のメタファーであり、「絆」を紡ぐアイテムなのだ。
リアルの世界では、1970-80年代はテープメディアからCD->MDと進化を遂げた時代、VHSとベータの激しいビデオ戦争が繰り広げられた。
音楽の世界ではテープ記録全盛期。もっとも良い音として48K録音可能なDATが主流。それにタイムコードを載せる数百マンの機械が飛ぶように売れた。そんな時代背景で、近未来の常識と言わんばかりに碇シンジくんは実に普通にS-DATをウォークマンとして利用している。
これは非常に面白い!実はエヴァファンの中では「シンジくんのあれ」=『sーDAT』くらい有名な話なのだよ。
エヴァンゲリオンは本当に面白い作品だ。その時代背景は庵野監督が実は円谷英二に憧れ、特撮ヒーローの中でも「ウルトラマン」に感化されたことが、俺たち世代にbestマッチしている。そう、あのすらっとしたエヴァンゲリオンは、初代ウルトラマンの立ち姿に酷似してるとは思わないか?シン・ゴジラ大成功を収め、ついにシン・ウルトラマンが来年公開!これが庵野監督の集大成だと思う。
https://shin-ultraman.jp
そして、シン・エヴァ。放送開始から25年を迎え今もなお、新たな発見を感じるこの作品。もう面白かろう悪かろうではなく、「やっと終わる!」という感激のほうが勝る。数々の作品を手がけている庵野監督。僕はこの庵野監督の生き様が大好きで、その思考を垣間見るエヴァが好きなんだね^^。いつまでも終わることのない人類補完計画。人類補完計画のキーマンが碇シンジくんなだけに人類補完計画=やり直しがうまくいかず、TVファーストシーズンから、なんどもなんども類補完計画のを繰り返してしまい、遂には海は赤に染まり、少しずつ人間関係も崩れていく。またキーマンが碇シンジくん。庵野監督もいよいよ完成を見せてくれると言っている。
さて、今度は人類補完計画は成功するのだろうか。はたして、成功とはどのような状態を指すのだろうか。非常に興味深い。
それにしてもデュアルくん!TOHOシネマズ6000ポイントの夢!それは本当に残念でござんすW