旅行の適正時間

「日本一周とか、やめておいた方がいいですよ」

定年後にやりたいことは何か?と、例の雑談好きの職員が振ってきたのん気な話題に「やりたいことって?」と聞き直すと、「例えば気ままに日本一周旅行とかさぁ~」と、さらに眠たくなるよう返しをしてきたので、思わずツッコんでしまった私。

「なんで?いいと思わない。きれいな景色を見ながら勝手気ままな旅なんて」

いや、一泊二泊ならいいけど、日本一周って何日で一周するの?きれいな景色でも1時間も居たらもういいでしょう。それに、きれいな景色なんて日本中どこにもあるし、っていうか、日本はきれいな景色ばかりだから。

そんなやりとりをした私もふと考える。旅行に適した時間ってどれくらいだろうと。

二年ほど前、石垣島に三泊した時。南の島の早朝ジョギングをイメージした時は、きれいな海と空に囲まれて、どこまでもどこまでも走っていけそうな気がしていた。
しかし、実際はスタートして2時間もすれば景色にはなれ、疲労が爽快感を上回る。さらには、景観上の配慮から道中、自販機がなく、のどが渇いて死ぬ思いをした。

南の島の上り坂 まだ余裕があったころ
やや内陸に入ったコース 人影も自販機もまったくない 延々とこの景色が続くことを想像してほしい
綺麗な夕日 とは思う。 でも、どこでみても夕日はきれいなのだ

綺麗な景色目当ての旅行などそんなもんだ。

その辺の話をとくとくと説明すると、わかったのかわからないのか、その職員は別の話題に切り替えた。

思うに、目的がある旅行は思い立ったが吉日。定年後などと悠長なことはいわずに即実行。そしてすぐに帰ってくる。これがベスト。